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2016年05月30日

エイジングケア

2人に1人は「がん」になる。あなたが今すぐできること。

今回は、今までに10,000人以上のがん患者さんを診てきた水上治先生の書籍:「難しいことはわかりませんが、『がん』にならない方法を教えてください!」

についてご紹介したいと思います。

 

この書籍は、「がん」などの知識に乏しい38歳独身男性:大橋弘祐さんの質問に、水上先生が答える対談形式をとっており、非常に分かりやすくなっています。

「がん」に対する基礎知識、予防や検診から、「がん」になってしまった時の治療やその選択の仕方まで幅広く詳細に記されています。一部は私たちが知らない医療の裏側まで紹介されています。

 

著者の水上先生は、内科医として勤務しつつ、東京医科歯科大学で医学博士号を取得、その後、日本のがん治療の実態に限界を感じ、米国に留学。予防医学を研究し大変権威ある公衆衛生学博士号を取得されています。帰国後は東京衛生病院で、予防教育やがん医療を実践し、2007年からは東京の市ヶ谷でがん患者さんの駆け込み寺とも言うべき「健康増進クリニック」を開業していらっしゃいます。

 

先生はたびたび、ヨーロッパの医療現場も視察されています。

現在の日本では、西洋医学一辺倒で日本の医療しか知らないお医者さんが大半を占める中、先生は、日・米・欧、特に「がん」を減らした国*1=アメリカの医療に精通されている極めて稀なお医者さんです。常に海外の研究論文も読まれ、世界最先端の情報をお持ちになっています。

また、光栄にも私の学位論文*2の共同研究者でもあります。

 

前置きが長くなりましたが、書籍の一部を紹介しましょう。

 

がんの原因は、ハーバード大学の論文によれば、たばこが30%、食事や肥満が30%、運動不足が5%と言われている。だから、たばこと食事と運動に気をつければ、2/3は防げると思っていい。

2/3しか防げないのでは、残りの1/3のリスクはどうするのかと思うかもしれませんが、がんは早期発見すれば完治する場合も多いので、まずはしっかり予防、そして定期的な検診で早く見つけて治す。このように二段構えで対策をすれば、がんで死んでしまうことはほとんど防げる、とおっしゃっています。

 

予防のための具体的な方法としては、まず、たばこはやめる。肉と塩は減らす。肉は一週間に500gくらいに抑えたほうがいい。塩については塩鮭、たらこ、干物、梅干、いくらなど、塩分の多い食べ物は減らす。ラーメンなどのスープは全部飲まない。

また、塩分を体内から排出させる作用のあるカリウムを多く含む野菜や果物を極力摂るようにする。アメリカでは国民一人あたりの野菜摂取量は日本人の摂取量を上回り、それに合わせてがんも減少に転じています。

 

特に、がん予防に食べたほうが良いものは、「にんにく」。ドイツでは、にんにくの粉末が、動脈硬化の予防や高脂血症の治療薬として売られている。あとは「きのこ」。長野県の調査によると、きのこの栽培農家では、通常に比べてがんにかかる率が半分だったという。きのこに含まれる、β-グルカン(ベータ-グルカン)という物質が免疫を高めると紹介されています。

食品ピラミッド

 

この書籍を読んだあと、ちょうど水上先生の「健康増進クリニック」を訪れる機会がありました。

▼水上先生(写真左)と私(写真右)

IMG_7477

 

先生とのお話で印象的だったことは、「患者さんは、がん専門医より大病院志向が非常に高い。しかし、大病院でできる治療法は限られている。」ということです。この点については私も同感です。例えば、非常に効果的なサプリメントがあっても、大病院ではマニュアルにないので使わない、その分野を勉強している医師も少ない。がん専門医の場合は、勉強して採用することもあります。

160526病院選び

また、大病院の場合は、医師であっても組織の一員なので、患者さんサイドにはなかなか立ってくれず、患者さんの気持ちに配慮してくれることは少ないようです。その点、水上先生に私が感動するのは、いつも患者さんサイドに立って対応され、患者さんの心の暗闇に希望を灯してくれるお医者さんだからです。水上先生に相談してどれほど勇気付けられたかということを、先生のクリニックを紹介した知人から何回も聞かされています。

 

先生は、日本のがん患者さんについてこう仰います。日本のがん患者さんは、自分の命がかかっているにも関わらず、お医者さん任せが多い。医者は「先生」と呼ばれているので「医者の指示に従っていればよい」という文化が強く、その結果、患者は勉強不足になってしまう、と。

先生がアメリカで一番びっくりしたのは、アメリカの患者さんはともかく自分の病気に対して勉強熱心であり、自己責任の意識が非常に高いことだといいます。

がんにおいてできる最大の対策は「まずは知識をつけること」と、水上先生は仰います。医者の言うことが必ず正しいとは限らないからです。

本来知っておくべきことを知らないがために、がんになったあとに大きな後悔をするケースが非常に多いそうです。私もそのような残念なケースを沢山見てきました。つまり、「知っているか、知らないか」が、がん攻略の鍵になるのです。

「がん」になってしまったら、その治療には高額な医療費がかかります。しかし、知識を身につけるのにお金はほとんどかかりません。肉体的な負担もありません。

 

今や、日本人男性の62%、女性は46%が「がん」になり、これからはもっと増えると言われています。他人事ではありません。

皆さまにも是非ご一考いただきたく、今回ご紹介させて頂きましたが、さらに詳しくはぜひ、先生の書籍をお読み下さい。日本のがんの常識が、いかに世界の非常識かを知るためにも・・・。

 

 

*1関連コラム:『ガンを減らした国、増やした国』 2015-11-27

*2学位論文:「露地栽培アガリクスの機能性に関する研究」

 

文献:『難しいことはわかりませんが、「がん」にならない方法を教えてください!/文響社/水上治・大橋弘祐著

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※番外編コラム筆者紹介
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サンプライズ株式会社
代表取締役社長:元井益郎
薬学博士、薬剤師、NR(栄養情報担当者)、日本抗加齢医学会認定指導士。
1946年生まれ。東京薬科大学薬学部卒業。ジェーピーエス製薬株式会社入社・退社後、サンプライズ株式会社設立。東京大学や慶應義塾大学など、国内の著名な大学機関と抗加齢に関する共同研究を行っている。趣味は山登りとマラソン。

元井 益郎

薬学博士/社長

1分も走れないペンギン歩きから、世界7大陸最高峰を目指す70代に。

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