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2020年08月06日

ヘアケア

意外な出来事で、毛が生えた!なぜ?

意外なことで毛が生えた、7歳の少年

育毛効果があるものは、現在使用されているカプサイシンやイソフラボン、キングアガリクスを含むサプリメントが登場するまで、効果が十分とは言えませんでした。男性型脱毛症の治療薬であるプ○ ○ ○ ○や、あまり効果は信用できませんが、リ○ ○ ○などの市販の育毛剤が使用されてきました。

その後、カプサイシンとイソフラボンの組み合わせで、体の知覚神経を刺激すれば、インスリン様成長因子-1(IGF-1)が増え、毛が生えるという事実を見出しました。実際に、これらの物質を含むサプリメントが、育毛効果を発揮することも確認されました。

そして、7歳の少年において、意外な出来事により毛が生えることが観察されたのですが、これが、私の提唱した、知覚神経を刺激すれば毛が生えるという理論を裏付けることとなったのです。

今回は、その意外な出来事による育毛例を紹介し、また、なぜ毛が生えたのかを解説します。それが、現在使われているカプサイシンなどを含むサプリメントで、育毛効果が得られることの説明にもなるのです。

 

出来事1:骨折

この少年は、重症の円形脱毛症で、名古屋Kクリニックにて、IGF-1を増やす治療を受けていました。ある時、彼は転倒して、右肘の近くの骨を骨折しました。そして右肘から前腕にかけて、腫れて赤くなり、痛みが出ました。

驚いたことに、その1ヶ月後、骨折して痛みが出た部分の毛が、左手の同じ部分に比べて、明らかに伸びていることが判明したのです(写真1)。

▼写真1: 7歳男子。円形脱毛症で治療中。骨折した右腕の毛が濃くなっている。

出来事2:頭を蚊に刺される

この少年は、ある時、頭を蚊に刺されました。円形脱毛症の治療中でしたが、蚊に刺された部分には、まだ毛が生えていませんでした。そして蚊に刺されて1ヶ月後、この部分に、黒い産毛が生えてきたことが確認されたのです(写真2)。

▼写真2: 7歳男子の頭皮。左から蚊に刺された直後、蚊に刺されて1ヶ月後。

 

なぜ毛が生えたか;骨折による痛みと蚊に刺され後のかゆみは、どちらも知覚神経刺激で起こる

ここでいう知覚神経とは、痛みやかゆみ、熱さを感じる神経のことで、体中のどこにでもあります。

骨折では、その部分に痛みが出ます。骨折に伴い、知覚神経が存在する骨の周囲の組織が破壊されるため、強い痛みが発生するのです。例えば、骨を覆う骨膜の破壊などがあります。骨膜以外にも、周辺の皮下組織が傷害されたら、そこにも知覚神経があるので、痛みが出ます。

これは、傷害された組織で作られるという物質(プロスタグランジン)が、知覚神経を刺激して痛みを引き起こすためです。結果として、骨折した部位の周辺組織で、知覚神経が刺激され、IGF-1が増えて、腕の体毛が伸びてきたということが考えられます。

また、蚊に刺されると、かゆみが出ます。これは、蚊の唾液に含まれる成分が、ヒトの肥満細胞という細胞から、かゆみを引き起こす成分(ヒスタミン)を放出させ、これが知覚神経を刺激して、かゆみを引き起こすからです。この結果、IGF-1が増え、蚊に刺された部分で、毛が生えてきたと考えられるのです。

 

カプサイシンを皮膚に塗っても毛が生える

知覚神経を強く刺激する代表的な物質が、カプサイシンです。

皮膚の知覚神経が、痛みを起こす物質(プロスタグランジン)やかゆみを起こす物質(ヒスタミン)で、刺激されると、IGF-1が増えて毛が生える、と言えるならば、カプサイシンを皮膚に塗っても、痛みによる刺激で毛が生えるはずです。

写真3は、男性型脱毛症の60代の男性のおでこです。この男性に、カプサイシンを塗ってもらうと、その4.5ヵ月後に毛が生えていることが分かります。  

▼写真3:60代男性/男性型脱毛症。左からカプサイシン塗布前、塗布4.5ヶ月後。

 

ミツバチの毒にも、IGF-1を増やす作用がある

今回は、蚊に刺された部分に、毛が生えることをお示ししましたが、ミツバチに刺されても、毛が生える可能性があります。ミツバチの針を刺して病気を治す治療は、古代エジプトから行われてきました。最近では、ミツバチの針療法で、関節リウマチによる関節炎を抑えることが示されています。

私の実験で、ミツバチの毒に含まれるメリチンという物質が、カプサイシンのように強く知覚神経を刺激し(だからミツバチに刺されると痛い)、その結果、IGF-1を増やす作用があることが分かりました。

おそらく、ミツバチに頭をさされると、蚊に刺された時と同じように、そこに毛が生えてくるでしょう。メリチンは、育毛剤(または、シワやたるみを取る化粧品)として使用できる可能性があります。

またIGF-1は、育毛効果以外にも、炎症を抑える作用があるので、ミツバチの針療法では関節炎が改善されるのでしょう。

 

痛み止めやかゆみ止めで脱毛することも、この理論の正しさを裏付ける

以前にお伝えしたように、風邪薬に入っている痛み止め(解熱効果もある)やかゆみ止めは、それぞれ、プロスタグランジンとヒスタミンの作用を阻害します。

これらの薬で脱毛する事実も、プロスタグランジンやヒスタミンにより知覚神経を刺激してIGF-1を増やすことが、育毛に重要であることを、裏付ける証拠になります。

これらの事実は、現在使われている知覚神経を刺激するサプリメントが、IGF-1を増やし、育毛効果を引き起こすものであることを、裏付けたとも言えます。

岡嶋 研二

育毛ドクター

名古屋Kクリニック院長。 IGF-1育毛理論の第一人者。

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